on wings like eagles

日々ごはんを食べるように活字を食べて生きています。

映画『メッセージ』、うるうるきました。

f:id:wingfeet:20170523211149j:image

公開翌日に『メッセージ』を観てきました。京都に出張中だったのですが、たまたま夕方以降に時間が空き、ちょうど近くに映画館があったのがラッキーでした。

 

テッド・チャンの原作『あなたの人生の物語』の映画化なんですが、映画の原題はArrival「到着」、そして邦題は「メッセージ」でややこしいですね。原作を先に読んでいたので、映画でも仕掛けられているちょっと複雑な仕掛けにはすんなり対応することができました。原作の再現度は60%ぐらいかと思いますが、改変されている部分も映画としてはこれでよかったなと思えるような盛り上がりと緊張感があり、よく考えられた脚本だと感じました。

 

ある日、地球上の12の地点に突然現れた巨大な宇宙船、侵略を仕掛けてくるわけでもなく、そのや目的は不明。エイリアン側がオーバーテクノロジーで瞬時に地球人の使う言語で何かを要求してくるならともかく、言葉が全く通じないから主人公の言語学者が試行錯誤で意思疎通を図るといったところから物語が展開します。どうも会話は難しいようなので、文字ならどうかというところから突破口が開け、徐々に意思疎通ができるようになるのですが… という感じがお話の掴みです。

 

ヘプタポッドと呼ばれるエイリアンの造形、エイリアンが使う表意文字、彩度を落とした北欧の空気のような絵づくり、劇中の音楽や効果音など、ううむと唸らされました。正直、評価は分かれると思いますが、僕は好きですね。人生において本当に大切なものは何なのか、そしてそれが奪われ、失われてしまうことが分かっていても、それをあえて選択する、享受するということはどういうことなのか、そんなことを考えさせられました。ケン・グリムウッドの『リプレイ』という素晴らしい小説がありますが、あの作品を読んだ後に感じたことと、ちょっと似ています。

 

ハードSFはやはりいいなあと思いました。『インターステラー』もよかったけど、勝るとも劣らない感じ。本作の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。とても才能のある監督だと思います。秋にブレードランナー2049が控えていますが、こちらも大いに期待できます。