on wings like eagles

日々ごはんを食べるように活字を食べて生きています。

今日の読書から: ヘンリー・クラウド『リーダーの人間力』

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とある方から教えていただいた本。タイトルとか副題からは、よくあるHow toもののビジネス本っぽい感じがします。ただ、原題は"Integrity"となっていて、これは「正直、高潔さ、全体が統合されている」といった意味合いです。著者のヘンリー・クラウドはクリスチャンで、キリスト教関係の書籍もいろいろ出しているようです。

 

まだ読み始めたばかりなのですが、ビジネス書でありながら、かなり心の問題を扱っていて、とても聖書的な視点から書かれているなあと思いました。『七つの習慣』と似た匂いがします。例えば、この本で扱われている6つの重要な資質の第1番目が「信頼を確立する」なんですが、ビジネスをはじめ、一般的な社会の中で最も普及しているWin-Winの関係についてこう書かれています。

 

→ この考え方はある意味フェアである。古来からの「目には目を、歯には歯を」である。自分によくしてくれる人にはよくするが、よくしてくれない人は忘れてしまえということだ。結婚生活や人間関係が破局を迎える大半の原因がここにある。男女が愛し合い、惜しみなく与え合う。しかし、そこに生まれる愛情や与えるという行為は「条件つき」だ。お互いが与え合う理由は自分がもらうからだ。自分がありがたいと思うので、「お返し」に与える。相手がくれる限り、こちらも与える。(中略)しかし、私が自分の務めを十分に果たせない時あなたに見捨てられるとすれば、私はいつも怖れ、防御の姿勢でいなければならない。いつ何時あなたの支援を失うかもしれないからだ。かくして人は信頼ではなく、恐怖の中に生きることになる。(中略)本当の信頼は三つめの状態において成り立つ。すなわち、相手からの好意が何にも依存せず、無条件のものであると認識する時である。これはその人のインテグリティの一部である。その人が「何者なのか」であり、相手に最上のことを望み、そのためにできることは何でもしようとする人間性である。それがあれば、恐れるものはない。私がミスをしてもあなたが助けてくれる。私が見ていなくとも、あなたは私のために力を尽くしてくれる。とはいえ、あなたは私の間違いを無視したりはしない。私の不十分なところは、介入したり強い手段に訴えたりして、私に直視させてくれる。

 

引用が長くなりましたが、山上の垂訓をはじめ、聖書のあちこちの箇所が思い起こせますし、ここにある「本当の信頼」というのは、神様と私たちの関係の縮図そのものですよね。ビジネス書はそんなに好きではないのですが、本書は聖書的背景を持って書かれていることがよく分かるので、納得感を持って読み進めています。全部読み終わったら、また全体的な感想を記してみたいと思います。

 

風邪で数日寝込みましたが、病床でそれなりの量の読書ができたことは良かったかなと思います。